newsインテージヘルスケア・Space BD 世界初、AI創薬と商用宇宙実験で協働

インテージヘルスケア・Space BD
世界初、AI創薬と商用宇宙実験で協働
創薬研究支援サービス提供に向けた共同研究を開始
2022年中にタンパク質実験サンプル打上げ予定

株式会社インテージヘルスケア(本社:東京都千代田区、代表取締役社長:仁司与志矢)とSpace BD株式会社(本社:東京都中央区、代表取締役社長:永崎将利)は、各社がサービス提供している新薬創出のためのAI創薬プラットフォーム「Deep Quartet(ディープカルテット)」と、宇宙特有の微小重力環境を活用した「高品質タンパク質結晶構造解析サービス」を連携させた共同研究を開始します。2022年中の実験サンプル打上げと宇宙実験を経て、地上回収の後、X線結晶構造解析とAIによる最適化計算を予定しています。
将来的には、宇宙実験により得られる緻密な構造データと、AIによる化合物デザインのアセットを活かした世界初(※1)の創薬研究支援サービスの提供を視野に入れた取り組みとなります。

※1 Space BD調べ

[AI創薬プラットフォーム「Deep Quartet」と「宇宙実験・高品質タンパク質結晶生成サービス」の連携図]

本共同研究は創薬研究における化合物の最適化の技術開発を目的とし、AI創薬の技術によりデザインされた医薬品の新規化合物と、疾患に関連するタンパク質との相互作用を、宇宙実験で明らかにしていきます。
国際宇宙ステーション(以下ISS)「きぼう」日本実験棟では、宇宙特有の微小重力環境を活用して、高品質なタンパク質結晶を生成し、地上実験では得られない緻密な構造情報を取得できます。この超精密な構造情報とAI創薬の技術を用いて、薬物設計において重要とされる「弱い分子間力(※2)」をも考慮した化合物の最適化技術の開発を行います。本共同研究の成果は、創薬研究における開発コストと期間の効率化に貢献します。
インテージヘルスケアとSpace BDは、本共同研究に取り組むとともに、各社のサービスについても引き続き製薬企業および創薬ベンチャー企業などに提供していきます。

※2 医薬品の分子設計において、標的タンパクに対して分子(化合物)が強い結合を持つことは必須とされるが、近年のリード化合物の最適化研究においては、CH-π相互作用など、特定の弱い分子間力が重要な役目を果たしているとされている

「Deep Quartet(ディープカルテット)」について

AI創薬プラットフォーム「Deep Quartet」は、インテージヘルスケアと株式会社理論創薬研究所、株式会社アフィニティサイエンスが3社連携で提供するサービスです。「Deep Quartet」は、深層強化学習の技術である(1)Deep reinforcement learning、ファーマコフォアモデルを用いるソフトウェア(2)LigandScout、網羅的なターゲット予測を可能とする機械学習ベースの技術(3)CzeekSを組み合わせた一連のフローであり、ここに製薬企業各社の(4)メディシナルケミスト(有機合成化学者)の知見を加えることで、Quartet(四重奏)によるAI創薬プラットフォームを実現しています。デザインされた化合物は連携する神戸天然物化学株式会社によりワンストップサービスで実合成を行うことが可能です。技術の詳細や事例については、以下の論文を参照ください。

・Design and synthesis of DDR1 inhibitors with a desired pharmacophore using deep generative models. ChemMedChem 2021;16:955–58.
・Strategies for design of molecular structures with a desired pharmacophore using deep reinforcement learning. Chem Pharm Bull (Tokyo) 2020;68(3):227-33

ISS「きぼう」での高品質タンパク質結晶実験について

Space BDは、宇宙航空研究開発機構(以下JAXA)が10年以上にわたって推進してきた「きぼう」での高品質タンパク質結晶生成事業の唯一の民間パートナーとして、国内外の企業・研究機関に宇宙実験サービスを提供しています。JAXAの宇宙実験を初期からサポートする株式会社丸和栄養食品との連携により、宇宙実験だけでなく、結晶化条件の検討、宇宙輸送、結晶の回収、構造解析さらには分子設計に対する提案まで行うことができます。

宇宙飛行士による作業風景(イメージ)
©JAXA/NASA

インテージヘルスケア データ・サイエンス事業部 創薬支援室 村上 竜太のコメント
私たちは創薬現場において実践的であることを重要視してAI創薬の研究支援サービスを協力会社とともに提供してきました。今回のコラボレーションは、ともに実践的な実用化フェーズに入ったAI創薬と宇宙実験の連携であり、国内外の医薬品開発を加速するものと確信しています。


Space BD 事業開発本部 河田 将輝のコメント
宇宙とデジタルテクノロジーの掛け合わせによって創薬研究を効率化に挑戦する革新的なサービスを提供できること、大変うれしく思います。今後もこれまで宇宙に関わりのなかった技術シーズとの連携や市場ニーズの開拓により、宇宙利用の幅を拡げていくことに挑戦していきます。

参考画像

ISSに運ばれた低温高品質タンパク質結晶生成実験サンプル(イメージ)
©JAXA/NASA
ISS(左)と地球上(右)で生成したアミラーゼのタンパク質結晶
©JAXA/丸和栄養食品
プレスリリース

株式会社インテージヘルスケア

SHARE

facebooktwitter

関連サービス