プレスリリース

インテージヘルスケア、新潟大学 AIを活用したメガリン拮抗薬の開発に関する共同研究を開始

インテージヘルスケア、新潟大学
AIを活用したメガリン拮抗薬の開発に関する共同研究を開始

株式会社インテージヘルスケア(本社:東京都千代田区、代表取締役社長:村井啓太)と国立大学法人新潟大学(本部:新潟県新潟市、学長:牛木辰男)は、AIを活用したメガリン拮抗薬(※1)の開発に関する共同研究を開始しました。

新潟大学大学院 医歯学総合研究科 腎研究センター 機能分子医学講座の斎藤亮彦教授らは、急性腎障害(急性腎障害は、先進国において年間約60万人の死亡、慢性腎不全または慢性腎臓病(CKD)進行に関与している)の発症に関わるメガリンを標的とした創薬研究に取り組んでおり、2024年5月にはメガリンの立体構造とリガンド(※2)結合様式を解明するなど、先進的な成果を公表しております(※3)。

今回の共同研究では、インテージヘルスケアがメガリンの立体構造やリガンド情報を用いて、AI等を使用したインシリコスクリーニング技術により新規化合物の探索・デザインを行います。新潟大学ではデザインされた低分子化合物の評価実験等を行うことで、メガリンを標的とした拮抗薬の創製を目指します。

インテージヘルスケアは、株式会社理論創薬研究所、株式会社アフィニティサイエンスとともに、AIによる新規化合物デザイン、インシリコスクリーニングによる候補化合物探索など、実践的なAI創薬の活用を製薬企業および大学などの研究機関と進めています。この共同研究はインテージヘルスケアが実施する「インテージヘルスケアAI創薬アカデミックプログラム(INTAGE Healthcare AI drug discovery Academic Program:IAAP)」の一環として実施するものです。

※1 メガリン拮抗薬:
メガリンとは、腎臓の近位尿細管細胞に発現する受容体タンパク質で、腎臓に取り込まれる腎毒性物質の「入り口」を司る役割を果たしており、慢性腎臓病(CKD)および急性腎障害(AKI)の予防や治療のための重要な創薬標的として注目されています。メガリン拮抗薬は、腎毒性薬剤のメガリン結合を阻害するもので、広範囲の腎疾患に適応される可能性があります。

※2 リガンド:
化合物のうち、特定のタンパク質を受容体として特異的に結合する性質を持った物質です。

※3 研究成果は、科学誌Proceedings of the National Academy of Sciences of the United States of
Americaに掲載されています(doi: 10.1073/pnas.2318859121)

「インテージヘルスケアAI創薬アカデミックプログラム」について

AI創薬プラットフォーム「Deep Quartet」などAIによる計算アプローチにより新薬開発の化合物探索及び化合物デザインを行うとともに、インテージヘルスケアが化合物の提供までを行うことにより、アカデミアの持つ研究テーマにおいて医薬品候補化合物を見出す共同研究によるスタートアッププログラムです。
アカデミアのもつ研究テーマとモデルに対して、インテージヘルスケアらがAIによる化合物デザインを行い実際の化合物までを提供、アカデミアにてin vivo ないしは in vitroの評価実験を行い、新薬の候補化合を見出そうとするものです。
このプログラムによりAI創薬による医薬品開発を促進し、加速させます。

「Deep Quartet(ディープカルテット)」について

AI創薬プラットフォーム「Deep Quartet」は、インテージヘルスケアと株式会社理論創薬研究所、株式会社アフィニティサイエンスが3社連携で提供するサービスです。「Deep Quartet」は、深層強化学習の技術である(1)Deep reinforcement learning、ファーマコフォアモデルを用いるソフトウェア(2)LigandScout、網羅的なターゲット予測を可能とする機械学習ベースの技術(3)CzeekSを組み合わせた一連のフローであり、ここに (4)メディシナルケミスト(有機合成化学者)の知見を加えることで、Quartet(四重奏)によるAI創薬プラットフォームを実現しています。
技術の詳細や事例については、以下の論文を参照ください。

・Design and synthesis of DDR1 inhibitors with a desired pharmacophore using deep generative models. ChemMedChem 2021;16:955–58.
・Strategies for design of molecular structures with a desired pharmacophore using deep reinforcement learning. Chem Pharm Bull (Tokyo) 2020;68(3):227-33

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