プレスリリース

第31回 生活健康基礎調査 ~市販薬購入時にドラッグストアで聞きたいこと~

10~70歳代の男女2,563人に調査
市販薬購入時にドラッグストアで聞きたいこと
全年代が「商品の選び方」、60-70歳代は「安全面」も!

当社は、京浜・京阪神の16~79歳の男女2,563人を対象に、「健康」に関する意識と実態の把握を目的とした自主企画調査「生活健康基礎調査2021(第31回)」を実施しました。今回はその中から、各年代のドラッグストア(※1)での市販薬購入時の実態について調査結果をまとめました。
新型コロナウイルス感染症の拡大により、マスクなどの衛生用品、巣ごもり需要の食品の売上が伸び、2021年のドラッグストアの業績はコロナ前の2019年と比べると105.6%と好調でした(※2)。一方、その中の市販薬の売上は、コロナ関連の一部の薬効で伸びたものの、インバウンド需要が消滅したことや、感染予防の徹底が要因と見られるかぜ関連商品の不調などにより、厳しい状況が続いています(※3)。市販薬の売り場として、どのようなことに取り組んでいくのが良いか、生活者へのアンケート結果から分析しました。

※1:薬局、薬店を含む
※2:コロナ前の2019年と比較すると、ドラッグストアの販売金額は2019年は5兆5481億円、2021年は5兆8562億円で、プラス5.6%(全国小売店パネル調査SRI+、各年1-12月計)
※3:コロナ前の2019年と比較すると、ドラッグストアにおける市販薬の販売金額は、2019年は8881億円、2021年は8426億円で、マイナス5.1%(同パネル調査)

分析結果のポイント

  • 最もよく利用するドラッグストアの選択理由の上位は「立地の良さ」と「お得感」
  • 市販薬購入時にドラッグストアで相談したいと考えている人は全体で約3割。年代が上がるにつれて割合が高くなり、高齢層で約4割を占めている
  • 市販薬購入時にドラッグストアで聞きたい情報は、全年代で「商品特徴」、60-70歳代はそれに加えて「安全面」も

調査結果の詳細

ドラッグストアを選ぶ理由は、「立地の良さ」と「お得感」!

ふだんの買い物でドラッグストアを利用しているという人に、その中で最もよく利用する店舗の選択理由を確認したところ、「買い物・通勤・通学の上で便利」「ポイントカードの特典がお得」「日用雑貨品が安く買える」が上位に挙がっており、店舗の立地の良さやお得感に影響されることが分かりました。
一方で、「薬を選ぶ際に相談にのってくれる」「病気・健康の相談にのってくれる」などの専門スタッフに関する項目や、「行くのが何となく楽しい」「商品説明が充実している」などの情報の接点としての項目は低く、5%を下回っています。

市販薬購入時に、薬剤師や専門スタッフに相談したい人は、高齢層で約4割!

市販薬を購入する際、ドラッグストアにいる薬剤師や専門スタッフに相談したいと考えている人は全体で約3割(※4)を占めています。相談したい人の割合は年齢が上がるにつれて高くなっており、60歳代で39.1%、70歳代で44.6%となっています。

※4:市販薬を購入する際、「お店にいる薬剤師や専門スタッフに相談したい」という項目に対し「あてはまる」と「ややあてはまる」と回答した割合の合計

市販薬購入時に聞きたいことは、全年代で「商品の選び方」、60-70歳代は加えて「安全面」!

市販薬購入時に薬剤師・専門スタッフに聞きたいことを、かぜ薬について確認したところ、「自分の症状に合う商品はどれか」「効き目や効き方の違い」がどの年代でも割合が高く、全体でそれぞれ51%、46%となっています。加えて、60-70歳代では他の年代に比べて「飲み合わせ」「副作用」「正しい使用・服用方法」の割合が高く、安全面に関する項目に関心があることが分かりました。かぜ薬以外の他の市販薬(解熱鎮痛薬や鼻炎治療薬など)についても、同様の傾向が見られます。

考察

ドラッグストアは生活者にとって身近な健康の相談者ですが、実際は主に「立地の良さ」「お得感」などの要因で利用する店舗が選ばれており、薬剤師・専門スタッフとのコミュニケーションは、現状ではあまり重視されていないようです。

しかし、本調査から市販薬購入時に薬剤師・専門スタッフに相談したいと考えている人は全体で約3割と一定の割合を占めています。生活者は市販薬の商品特徴や安全性に関する情報を求めており、30歳代以降では25%以上の人が店舗での相談で入手した情報を参考に、市販薬を購入しているということも分かりました。

またかぜ薬については、購入者のうち約2割の人が「専門スタッフに聞きたかったけど聞けなかった」という回答をしていました。その理由として「薬剤師・専門スタッフがいなかったから」が45.8%と最も高い割合を占めており、ドラッグストアが生活者とのコミュニケーションの機会を逸している事もあるようです。

高齢層の約4割が市販薬購入時に相談をしたいと思っていることからも、ドラッグストアには専門スタッフに気軽に相談できる環境が求められているのではないでしょうか。店舗によっては、生活者が商品選択に悩んでいると、薬剤師・専門スタッフがその時々の症状に適切な商品を勧める「売り場での声掛け」を行っています。話の内容によってサンプルの配布や生活面でのアドバイス、医療機関への受診勧奨を行うなど、生活者との信頼関係の構築を大切にしている店舗もあります。

新型コロナウイルス感染拡大により、ふだんの買い物をインターネットでの購入で済ませることが増え(※5)、コロナ前に比べれば人との接点が失われつつあります。そのような中、ドラッグストアで薬剤師・専門スタッフと対話する機会が増えることで、生活者は店舗で市販薬を購入するメリットを感じられるようになるのではないでしょうか。そのきっかけ作りとして、例えば店内に血圧測定器を設置するなど、各世代ごとのニーズに対応できるようなコミュニケーション施策が注目されます。

※5:出典:2021年3月5日 インテージ 新型コロナ 関連レポート「- With Corona -‘新しい日常’の兆し_Vol.07」
https://www.intage.co.jp/covid-19-itgreports/pdf/QFTAe28.pdf

コンシューマーヘルスケア・ソリューション部
山根 瑞貴

生活健康基礎調査について

「生活健康基礎調査」は、生活者の健康状態・健康意識、市販薬の使用実態を捉え、市販薬と生活者との関わりに関する経年データを整備することを目的としたもので、本年で31回目となります。なお、このリリースは本調査の中から、調査結果を抜粋して作成しています。

CONTACT US

医療・ヘルスケア領域のプロとして
お客様の調査・研究を総合的にサポートします

Translate »