2019年9月度 市販薬(OTC)市場 薬効別ランキング
2019年9月度 市販薬(OTC)市場 薬効別ランキング
消費税増税前、駆け込み需要が貢献し前年比2割増
買いだめ対象は「高単価」「大容量」「定番ブランド」「高齢者向き」
当社は、全国一般用医薬品(OTC)販売動向調査のデータを基に、「2019年9月度 市販薬(※1)市場 薬効別ランキング」を発表しました。
※1 市販薬:ドラッグストアや薬局で販売される一般用医薬品(OTC)のこと。当社データは指定医薬部外品を含みます。
調査結果
◆ 9月度の販売金額は、消費税増税前の駆け込み購買で1,059億円、前年同月比121.4%「市販薬市場の販売金額推移」

9月度の市販薬の市場規模は1,059億円、前年同月比121.4%と大幅伸長しました。この背景として、昨年9月に大型台風の上陸や北海道胆振東部地震などの相次ぐ自然災害で低調だったことの反動が一つの要因としてあるものの、消費税増税前の駆け込み購買の影響は明らか。過去5年の9月の平均を100とした場合の指数は117.1で、過去5年の9月で最も販売金額が大きい結果となりました。
◆ 駆け込み購買でほぼすべての薬効で大幅伸長。「好調薬効トップ5、不調薬効ワースト5(金額前年同月差)」

9月の市販薬市場では、ほとんどの薬効で駆け込み購買が見られました。全42薬効のうち1つを除いて対前年プラス、また37薬効で過去5年の9月で最も販売金額が大きい結果となりました。
◆ 買いだめ対象のキーワードは、「高単価」 「大容量」 「定番ブランド」 「高齢者向き」

前回の消費税増税前の2014年3月と、今回の2019年9月では、市場全体に対する駆け込み購買の影響度はどうだったのでしょうか。3月売上へのインパクトが大きい花粉症関連薬を除外して、増税10週前から売上の前年同月比を比較したところ、今回は前回よりも市場への影響が少なかったことがわかりました。

店頭での販売データを見ると、影響度が高かったのは、2014年3月と同様、滋養強壮剤(※2)、総合ビタミン剤、ビタミンB1剤、毛髪用剤(※3)といった商品でした。ここからは「高単価」「大容量」「定番ブランド」といったキーワードが浮かび上がってきます。
良く売れたのは単価が高い商品。例えば2,000円台で前年同月比128.5%、7,000円以上では149.2%とその傾向は顕著に表れています。また商品の入数が多いほど買いだめされやすく、特にミニドリンク剤(※4)50本入りでは、同195.2%と2倍近くの売上となっています。定番品として売上が伸びたのは、ビタミンB1剤、毛髪用剤などの代表的なブランドの商品でした。
一方、消費者購買データで確認すると、高齢者ほどまとめ買いの傾向が強く、その対象は滋養強壮剤、ビタミンB1剤、総合ビタミン剤、女性用保健薬、漢方薬、歯槽膿漏治療薬、毛髪用剤などとなっています。年代が上がるにつれ前年に比べて購入金額が高くなり、10~30歳代が約126%なのに対し、70歳代では147%です。また高単価商品ほど高齢者に買われているというデータからも、少しでも出費を抑えようとする高齢者の行動が見て取れます。
※2 滋養強壮剤:主に錠剤で滋養強壮を目的とした製品。ドリンク剤・ミニドリンク剤やビタミン主薬製剤は除く
※3 毛髪用剤:医薬品の養毛剤・育毛剤。育毛トニックや医薬部外品は除く
※4 ミニドリンク剤:100ml未満の飲みきりタイプの内服液剤
SDI(全国一般用医薬品パネル調査)◆1960年調査開始
※2018年4月度から調査設計を変更しました
対象業態 | OTC医薬品を販売しているドラッグストア、スーパーマーケット、コンビニエンスストア、ホームセンター・ディスカウントストア |
エリア | 全国 |
調査店舗数 | 3,245店舗 |
データ収集方法 | POSデータのオンライン収集 |
対象カテゴリー | 医薬品、指定医薬部外品 (対象カテゴリーのバーコードが付与されている商品のみ) |
調査項目 | 各店舗におけるバーコード別の販売年月日、販売個数、販売金額など |
SCI(全国消費者パネル調査)
対象者 | 15~79歳の男女個人 約50,000人 |
エリア | 全国 |
データ収集方法 | 携帯型端末によるバーコードスキャン、PC連携入力によるネット調査 |
対象カテゴリー | 食品、飲料、アルコール、日用雑貨品、化粧品、医薬品、タバコ (対象カテゴリーのバーコードが付与されている商品のみ) |
調査項目 | 購入年月日・時間、購入ルート、バーコード、購入個数、購入金額、レシート合計金額 |