2020年10月度 市販薬(OTC)市場トレンド
2020年10月度 市販薬(OTC)市場トレンド
増税後の買い控えがあった昨年10月との比較で103%
乾燥の季節、新製品も貢献し前年比121.4%と好調な皮膚用薬
当社は、全国一般用医薬品(OTC)販売動向調査のデータを基に、「2020年10月度 市販薬(※1)市場トレンド」を発表しました。
※1 市販薬:ドラッグストアや薬局で販売される一般用医薬品(OTC)のこと。当社データは指定医薬部外品を含みます。
調査結果
◆ 10月度の販売金額は900億円、消費税増税後の買い控えの影響があった昨年10月との比較で103.0%。半数以上の薬効でプラスだった「市販薬市場の販売金額推移」
10月度の市販薬の市場規模は900億円でした。消費税増税後の買い控えで市場が縮小していた昨年10月との比較では103.0%とプラスで、全42薬効のうち半数以上で前年比プラスとなりました。
◆ 昨年10月の買い控えの背景の中、相次ぐ新製品の売上も貢献し、皮膚用薬が前年同月比121.4%と好調だった「主要薬効の販売金額および前年比」
[好調だった薬効]
皮膚用薬(殺菌消毒剤を除く)は、66.7億円、前年同月比121.4%でした。夏場には記録的猛暑によるあせもや、いわゆるマスク荒れに対処する製品が良く売れ好調でしたが、当月は、手荒れによる保湿、ひび・あかぎれ、湿疹・皮膚炎などへの対処を訴求した製品が好調でした。その要因として、消毒剤による手荒れやマスク荒れなど新型コロナウイルス感染予防対策による影響や、乾燥する季節になり需要が増加していることに加えて、相次いで発売された新製品の貢献などが挙げられます。
主に錠剤の製品である滋養強壮剤は、前年同月比118.7%と大きくプラスとなりましたが、この薬効は、消費税増税による駆け込み購買・買い控えの影響を大きく受ける傾向にあることが分かっています。
胃腸薬は、インバウンドに人気の製品や内服液を除いて、前年プラスとなっています。
殺菌消毒剤は、今年4月に初めて販売金額上位10薬効に入りましたが、当月になり11位にランクダウン。伸び率がやや鈍化しているものの35.1億円、前年同月比267.5%となっており、感染症予防対策の代表的な薬効として好調を維持しています。
[不調だった薬効]
新型コロナウイルスの影響で不調が続く薬効の動向に、大きな変化は見られません。
総合感冒薬は、風邪のシーズンに入ったことによる立ち上がりが見られ、販売金額で71.9億円と1位になったものの、前年同月比76.0%と低水準にとどまっています。この傾向は風邪関連薬市場(※2)全般にあてはまり、マスクの着用や手洗い、うがいなどの感染症予防対策が定着したことで、風邪をひく人が減少していると推測されます。
外出自粛により、購入してその場で飲める1本タイプのドリンク剤・ミニドリンク剤は、特にコンビニエンスストアでの販売が不振となっています。同様に鎮暈剤(乗り物酔い止め)なども不調が続いています。
また訪日観光客がほぼゼロの状態が続く中、外用鎮痛・消炎剤が前年同月比97.6%と低調。インバウンドに人気のある貼り薬や塗り薬の需要が激減しているためです。
※2 風邪関連薬市場:総合感冒薬、鎮咳去痰剤、口腔用薬(のどスプレータイプなど)、葛根湯(漢方薬)の合計
SDI(全国一般用医薬品パネル調査)◆1960年調査開始
※2018年4月度から調査設計を変更しました
対象業態 | OTC医薬品を販売しているドラッグストア、スーパーマーケット、コンビニエンスストア、ホームセンター・ディスカウントストア |
エリア | 全国 |
調査店舗数 | 3,245店舗 |
データ収集方法 | POSデータのオンライン収集 |
対象カテゴリー | 医薬品、指定医薬部外品 (対象カテゴリーのバーコードが付与されている商品のみ) |
調査項目 | 各店舗におけるバーコード別の販売年月日、販売個数、販売金額など |