2020年8月度 市販薬(OTC)市場トレンド
2020年8月度 市販薬(OTC)市場トレンド
記録的猛暑で虫さされ、あせも対処などの皮膚用薬が前年比110%
うがい薬の一時的な欠品状態は、2週間後には解消へ
当社は、全国一般用医薬品(OTC)販売動向調査のデータを基に、「2020年8月度 市販薬(※1)市場トレンド」を発表しました。
※1 市販薬:ドラッグストアや薬局で販売される一般用医薬品(OTC)のこと。当社データは指定医薬部外品を含みます。
調査結果
◆ 8月度の販売金額は966億円、6か月ぶりに前年比プラスの101.6%。過去5年間の8月としては最高水準だった「市販薬市場の販売金額推移」
8月度の市販薬の市場規模は966億円で、前年同月比は101.6%、過去5年間の8月の販売金額の平均を100とした場合の指数では102.4と最高水準でした。この背景には、記録的な猛暑が続き、虫さされやあせも対処などの皮膚用薬が好調だったことや、うがい薬が8月前半に一時的に大幅に売れたこと、手指消毒剤の好調が継続していることなどが挙げられます。
◆ 記録的猛暑で皮膚用薬が前年比110.3%と伸長。新型コロナウイルスの影響で、殺菌消毒剤は好調が続き、風邪関連薬や胃腸薬は不調「主要薬効の販売金額および前年比」
新型コロナウイルスによる市場全体への影響が長期にわたり、販売金額上位10薬効にも変化が見られています。
[好調だった薬効]
販売金額上位10薬効の中で、前年同月比で最も好調だったのは殺菌消毒剤の48.9億円で、前年同月比373.5%と好調が続いています。殺菌消毒剤は、3月以前はインフルエンザの流行時期などを除き、ほとんど11位以下でしたが、4月に10位にランクインして以来、順位を上げ、今では上位薬効の商品として定着している様子がうかがえます。
次に好調だったのは皮膚用薬(殺菌消毒剤を除く)の101.1億円で、前年同月比110.3%でした。7月の低温から一転、記録的猛暑が続いたことで、虫さされやあせもに対処する製品が伸長。また、いわゆる”マスク荒れ”によって湿疹・皮膚炎やにきびの薬も引き続き好調でした。
うがい薬については、感染予防対策の製品として週次の販売金額は前年比1.7~1.8倍程度で推移していたところ、8月4日の大阪府知事による記者会見(※2)を受け、一時的に約11倍にまで跳ね上がりました。店頭でも欠品状態になりましたが、2週間後にはその前の状態に戻っています。
※2 吉村大阪府知事が会見で、ポビドンヨードを含むうがい薬に新型コロナウイルス感染症の重症化を抑制する効果が認められる可能性について示唆
[不調だった薬効]
新型コロナウイルスの影響で、訪日観光客がほぼゼロの状態が続き、インバウンドに人気のある外用鎮痛・消炎剤は前年同月比94.5%、目薬は同97.2%と低調が続いています。ただし訪日観光客による購買の割合が少ない店舗では、前年よりプラスの販売となっています。
胃腸薬は、外出自粛による影響を大きく受けて38.7億円、前年同月比92.0%となっています。そのほかにドリンク剤やミニドリンク剤の1本タイプや、鎮暈剤(乗り物酔い止め)、胃腸内服液などの継続的な不振も、同じ要因によるものです。
また、マスクの着用や手洗い、うがいなどの感染症予防対策が定着したことなどにより、風邪をひく人が少なかったと推測され、風邪関連薬(※3)の大幅なマイナスが続いています。中でも総合感冒薬は、例年、販売金額上位10薬効の常連で、夏場の8月でも7位程度を維持していましたが、今回は6月に続き2度目の11位へのランクダウン、37.5億円、前年同月比70.0%と落ち込みました。
※3 風邪関連薬市場:総合感冒薬、鎮咳去痰剤、口腔用薬、葛根湯(漢方薬)の合計
SDI(全国一般用医薬品パネル調査)◆1960年調査開始
※2018年4月度から調査設計を変更しました
対象業態 | OTC医薬品を販売しているドラッグストア、スーパーマーケット、コンビニエンスストア、ホームセンター・ディスカウントストア |
エリア | 全国 |
調査店舗数 | 3,245店舗 |
データ収集方法 | POSデータのオンライン収集 |
対象カテゴリー | 医薬品、指定医薬部外品 (対象カテゴリーのバーコードが付与されている商品のみ) |
調査項目 | 各店舗におけるバーコード別の販売年月日、販売個数、販売金額など |